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温泉よりもラーメンに見える? 経済産業省も困惑のピクトグラム

2017.5.26
 
ピクトグラムという言葉に聞き慣れない方も、「男女が並ぶ公衆トイレのマーク」や「ドアに逃げる人が描かれた非常口のマーク」と聞けば、すぐさま思い浮かべることができるでしょう。言語に代わり視覚的なデザインで表現されたピクトグラムは、あらゆる人々が情報を瞬時に認識することができる、最もシンプルなコミュニケーションツールのひとつです。
もともとは1920年代にオーストリアの科学哲学者オットー・ノイラートにより発案されましたが、1964年東京オリンピックを機に本格的に世界へ浸透したことから、発祥の地は日本であるともいわれています。当時、英語でのコミュニケーションが大変困難であった我が国にとって、外国人へ情報をどう案内するかいうことは最大の課題でした。そこで、考えられたのがこのピクトグラムです。世界の誰もが一目瞭然の案内表示を作ろうと、東京オリンピックデザイン専門委員会委員長の勝見勝氏をはじめ、第一線で活躍していた若手デザイナー11名が招集されました。そしてオリンピック開幕を目前に、競技種目やトイレ、食堂、医務室をなどを表すたくさんのピクトグラムが完成されました。今では約140種類のピクトグラムがあるそうです。
さてこのピクトグラムが、近年ちょっとした物議を醸しています。日本で使用している日本工業規格(JIS)規定のものと、国際標準化機構(ISO)が規定するものでは約半数のデザインが異なり、また外国人に理解しにくいもの、誤解を与えるものが多数存在するということがわかったのです。その発端といえるのが温泉のピクトグラム。日本人が慣れ親しんでいる温泉マークは下図の左側ですが、外国人からはラーメンや喫茶店のマークに見えるという意見が寄せられたとか。そこで経済産業省は新たな案として、下図の右側のマークを提案しました。
しかし今度は日本人側から「日本伝統のマークを軽視している」、「外国人に媚びすぎでダサイ」、「地獄の釜ゆでのようだ」、「赤ちゃんの顔に見える」など批判が続出、Twitterで大炎上という事態に陥りました。経済産業省が、日本人と外国人に対し調査を実施したところ、両者間では認識が大きく分かれていたということがわかりました。その結果、「現行のマークを残しつつも新マークも採用し、状況に応じて選択していく」という異例の結論を出したのです。
そのほかにも外国人から理解されにくいといわれていた「駐車場」、「手荷物受取所」、「救護所」、「乳幼児用設備(ベビーケアルーム)」、「乗り継ぎ(飛行機)」のマークについても、同様にアンケートを取りました。その結果 、日本人外国人ともに国際標準化機構(ISO)が規定するピクトグラムの方がわかりやすいという意見が多数を占めたため、今年7月を目途に変更を行うという結論に至ったそうです(下図参照)。またアンケートの中で要望が多かった「ヘルプマーク」という新しいマークが追加されることも決定しました。「ヘルプマーク」は “援助や配慮を必要としている方が身につけることで、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることができる表示”なんだそうです。
56年の年月を経て、再び迎える2020年東京オリンピック。時代は大きく移り進んでいます。多くの外国人が日本を訪れるようになり、日本のインバウンド対策は一見進んでいるように見えますが、このピクトグラムの一件からもわかるように、課題はまだまだ山積みです。今こそ私たちは自己満足で中途半端なインバウンド対策ではなく、“外国人に本当に求められるインバウンド対策”を考えていかなければなりません。まずは第一線で活躍するプロフェッショナルなグローバル・パブリシストたちから、その極意を学んでみませんか?
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