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海外で活躍するイベントオーガナイザーの 失敗から学んだ相づちのスキルとアピール術

2016.9.29
アメリカのサンフランシスコには、日系企業で働く日本人が数多くいます。ニフティ株式会社でイベントオーガナイザーとして活躍する河原梓(かわはらあずさ)さんもその1人です。決して英語が得意ではなかった河原氏が現地で様々なイベントを企画し、次々と成功させてきた裏側には、失敗から学んだコミュニケーションスキルがあったのです。
・アメリカ赴任までの経緯と、現在のお仕事について
2013年8月にニフティ株式会社の親会社である富士通の米国法人に出向という形で来ました。増加傾向にあるスタートアップ企業を調査して日本にフィードバックをするのが私の仕事でした。あと、ニフティのエンジニアや新規事業の担当者が日本から持ってきたテーマに応じて、現地でより効率的にミッションを完了できるように、サポートもしていました。今は、イベントオーガナイザーとしてスタートアップ企業向けにサンフランシスコでイベントの企画や運営を担当しています。
※1 インタビューの内容は2016年7月のもの。河原氏は2016年8月からニフティ株式会社の東京本社勤務となった。
・英語コミュニケーション力は必須。TOEIC470点からのスタート
2003年に新卒で富士通に入社した時のTOEICは470点でした。その後、会社のTOEIC研修に参加して、最終的には720点まで上げることができましたが、スピーキングは苦手でしたね。
4年前に一度、会社の研修プログラムで100日間ほどサンフランシスコに滞在し、ホストファミリーと話すことで英語を上達させました。あとは、こちらでイベントやミートアップのオーガナイザーにインタビューすることも私のミッションの1つだったので、仕事における実践の場で鍛えられた部分もあります。
・企業のエグゼプティブへの英語でのインタビュー。心がけることは?
人生初の英語インタビューはある企業のCEOでした。とても緊張しました。事前に質問事項を渡して、当日は「私は英語があまり得意ではないので、ゆっくり話してください。」とお願いしました。インタビュー後3日間かけて、一人で文字起こしから日本語翻訳までしたことでだいぶ力がついたと思います。
インタビューで会話を途切れさせないために心がけているのが相づちです。普段からネイティブの相づちの仕方を聞いてバリエーションを必死で増やしました。こちらが聞いている姿勢を示せば相手も話にも熱がこもってきますからね。相づちは会話において、とても重要です。
・アメリカにおけるイベント運営と成功の秘訣
2013年にアメリカで最初のイベントを担当しました。ニフティのエンジニアが開発したアプリケーションのプロモーションイベントを企画し、お酒やお寿司などを振る舞い、私がMCを担当したのですが、お客さんはすぐに帰ってしまいました。日本では4年間、イベントのコーディネートを本業としていただけに、すごく悔しかったですね。次のイベントでは、企画と構成をがらりと変えて短いプレゼンテーションをたくさんやるようにしました。常に誰かが話しているので、来場者を飽きさせません。イベントの構成にもメリハリが生まれて、お客さんも残ってくれるようになりました。MCとしても流れをしっかりリードすることに集中できたので、逆に楽になりました。その後、伊藤園さんと組んでオーガナイズしたイベント「茶ッカソン」では、英語の得意なMCと一緒に進行を担当。お客さんの反応を見ながら「これはウケる」「これは引かれる」など研究しながら、効率よくかつ効果的に進行できるようになりました。
・実際に人をイベントに来させるということ。集客のポイント
私の場合は、SNSでのプロモーションがメインです。Twitterは1万3000人以上、Facebookは2800人以上(※2)のフォロワーがいるので、その中からイベントのテーマに興味がありそうな人をピックアップして声をかけます。相手も私のことをなんとなく覚えていると「面白そうだから次のイベントに行ってみようかな」となります。声をかける時は、イベントでコラボレーションする企業にとってメリットがあったり、商品やサービスに興味を持ってくれたりしそうな人にまず声をかけることが重要です。
※2 9月現在3,000人以上。
・海外で成功したいのならば、“What do you do?”を明確に答えられることが必須
こちらに来て最大の壁は、アメリカ人のある問いに答えられなかったことです。それは“What do you do?(君の仕事は?)”。イベント担当ではなかった当時は「ビジネスディベロップメント」と答えていました。でも、これでは全く具体的には伝わりません。続けて「どんなビジネスをしているのか?」と聞かれるので、「インターネットビジネスをやっているニフティという会社で…」と答えると、ことごとく「Hum…(ふーん)」といった無関心な返答しか得られませんでした。ビジネスをする上で最悪の反応です。その時は、私自身仕事に対するフォーカスがずれていたし、何を与えることができるのか明確に理解できていなかった。相手からしてみるとユニークでもなんでもなかったのです。かなり悩みました。でも、イベント経験を積み重ねて、いろんな人たちが「面白いことをやってるな」と思ってくれるようになったことで、自分が何者なのかがクリアになったのだと思います。今は“What do you do ?”と聞かれたら、"I’m an event and community organizer from Japan."と自信を持って言えますし、相手の興味を引くように、どんどん話を広げることができます。
サンフランシスコはギブ&テイクの精神が強いので、自分が何のスペシャリストで、どんな形で貢献できるのかを投げかけられる人間になれれば、おのずとネットワークは広がってきます。
・日本のビジネスパーソンへ送る成功への秘訣
日本では初対面の相手と話す時は、肩書や会社の規模などから入っていきますが、アメリカでは自分の名前を売っていくことでビジネスを広げていくというアプローチが必要です。それはどんな業界でも同じではないでしょうか。
商品を売るにしても日本のように有名な会社のブランド名を出して売れる社会ではありません。大切なのは、自分が関わっているプロジェクトの強みや面白さ、ストーリーをどう伝えるかだと思います。
河原 梓
2003年富士通株式会社入社。2007年に富士通グループ会社であるニフティ株式会社に転籍。WEBサービス企画、イベントハウス運営、WEB媒体営業を経て2013年8月よりFujitsu Laboratories of America, Inc.にニフティより出向。サンフランシスコに拠点を構え、スタートアップとの提携やテクノロジー調査に従事し、その傍ら、日米のキーマンや企業を巻き込んだイベントやミートアップを多数開催。北米伊藤園とのコラボレーションイベント「茶ッカソン」開催や、J-POP SUMMIT2015・2016のインタラクティブパビリオンのプロデュースなどイベント活動は多岐にわたる。3年の任期を終え、2016年8月5日付でニフティ株式会社に復帰。「カルカルネクスト」プロジェクトを立ち上げ、日本と米国を橋渡しするコミュニティオーガナイザーを目指す。
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